・盤質：S、その他状態：デジパック オーストリア 個性派ブラック’06年 5th 輸入盤


オーストリアの個性派ブラック・メタル・バンドによる’06年5th。


前作は10分超えの曲が3曲の大作主義でしたが、今作も負けず劣らずの大作主義。TR.2、3が10分超え。全9曲中、6分2曲、7分1曲とトータルの尺は長め。前作は静のパートがメインで、アグレッシヴな動のパートというものはほぼありませんでしたが、今回は前作で聴かせたような沈み込むようなダークな雰囲気はそのままに、イントロダクションから続く大作Tr.2の後半で邪悪なブラック・メタル的パートが顔を出してきます。続くTr.3でもそれは同じで、前作のようにシンプルに反復するリズムの上で徐々に変化していくというよりは、展開そのものがガラリと変わるスタイルに変化しています。


さらに浮遊感のあるTr.5、前作のようにシンプルなリズムが反復する上を変化させていくサウンドのTr.6、ディプレッシヴな空気が強いところに笛の音色が絡んでくるTr.8など、前作の延長上にありそれが進化したサウンドであることが窺えます。ただ今作は、ヴァイオリンなどの耽美要素の登場頻度が控えめで、メロディを聴かせる部分はギターがメインとなっているのが特徴。曲名には数字が割り振られているだけで、コンセプチュアルなものを感じさせますが、決して曲が全て切れ目なく繋がっているわけではないです。


前作同様、総合的には静のパートがメインの大作主義という方向性ながら、前作の耽美かつ物静かなものとはまた一味違った魅力のある1枚。

【▲、ブラック・メタル・オーストリア】