・盤質：C、その他状態：2015年Concreto Recordsによる初CD化 メキシコ メロディック・デス’93年 Demo(6曲28分) 輸入盤


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1993年といえばUKや欧州で初期のメロデスが誕生し始めた時期に当たります。この作品はヴォーカルこそ地声成分が感じられるグロウルですが、ヘヴィでダークなデス・メタルらしいリフに、メロディックなリフ、そして泣きのメロディアスなソロは紛れもなくメロデス！音質面も良好ですし、1993年のメロデスと考えるとメロディアスさとアグレッシヴさのバランスも見事で正直驚異的なクオリティです。

そして1993年といえば、CARCASSのHeartworkや、EDGE OF SANITYのThe Spectral Sorrows、DARK TRANQUILLITYのSkydancerがリリースされた年に当たります。まだネットも未発達だった時代にメキシコにこんなバンドがいたという事実に驚かされます。ちょっと展開が多いのでEDGE OF SANITYやDARK TRANQUILLITYに通じる部分はあります。そしてギター・ソロのテクニカルさや流麗さに関しては正直当時の欧州メロデス・バンドを凌駕している印象です。手数多いドラムと動きの多いベースもテクニカルさがあって聴きごたえ抜群。

また、後半になるに従ってテクニカルな要素が増す印象で、これらはUSのDEATHのIndividual Thought Patterns以降の作品に通じるところがあります。が、よくよく考えてもみればそのIndividual Thought Patternsすら1993年。同じ年にこれだけのクオリティの作品をリリースしていたことを考えるとやはり驚異的です。それもIndividual Thought Patternsのわずか1カ月後のリリース。

総合的に考えてDemoなのがあまりにも勿体ないという印象。音質面も演奏面も十分な質を誇り、曲の目新しさという点でも当時では相当なインパクトがあったのではないでしょうか。EPでいいからリリースしてほしかったなぁ…などと思ってしまいました。当時の流通、音源発掘事情を考えるとメキシコからは難しかったのかもしれませんが…。もし正式にリリースされていたのなら初期メロデスの重要作品として歴史的に扱われたかもしれません。全6曲28分というボリュームの少なさこそありますが、各曲は作りこまれているし、資料的価値が高く、いち作品としても非常に楽しめる1枚です。

【★、デス・メタル/メタルコア・メキシコ】